ブログ

  • 「自由なはずなのに、なんでこんなに息苦しいんだろう」

    ― ティール組織を目指した現場で感じたこと ―

    ちょっと正直に話していいですか。

    ティール組織って聞いたとき、最初はめちゃくちゃいいなって思ったんですよ。
    上司もいなくて、自分たちで決めて動く。
    なんか“ちゃんと大人として扱われてる感じ”がして。

    「これからは自律型の組織にしていこう」って話が出たときも、
    自分はけっこう前向きでした。

    でも、実際にやってみると、思ってたのとちょっと違いました。


    まず最初に感じたのは、
    「で、これ誰がやるの?」っていう場面がめちゃくちゃ増えたことです。

    ちょっとしたトラブルとか、判断が必要なときに、
    前だったら誰かが決めてくれてたんですけど、今はそれがない。

    「どうします?」みたいな感じで話は出るんですけど、
    なんとなく全員が一歩引いてるというか。

    で、結局どうなるかっていうと、
    だいたいいつも同じ人がやるんですよね。


    責任感が強い人、ちゃんとしてる人。
    そういう人が、気づいたら全部拾ってる。

    これ、1回だけじゃなくて、何回も続くんですよ。

    最初は「助かるな」って思ってたんですけど、
    だんだん「いや、これおかしくないか?」って思い始めて。

    でも、じゃあ自分がやるかって言われると、
    正直そこまで踏み込めないときもあるし、

    「なんであの人はやらないんだろう」って思うことも増えてきました。


    で、一番きついのが、
    それを“言えない”ことなんですよね。

    上司がいるわけでもないし、
    評価する立場でもない。

    ただの同僚同士で、どこまで言っていいのか分からない。

    「もうちょっとやった方がいいんじゃないですか?」って、
    言おうと思えば言えるんですけど、

    正直、関係悪くなるのが怖いんですよ。

    空気悪くなるのも嫌だし、
    自分が面倒なやつだと思われるのも嫌で。

    結局、何も言わない。


    不思議なんですけど、
    外から見ると、たぶんうまくいってるように見えると思います。

    雰囲気も悪くないし、普通に会話もあるし。

    でも中にいると、
    なんかちょっとずつズレてきてる感じがあるんですよね。

    • やる人はずっとやってる
    • やらない人はそのまま
    • でも誰もそれを指摘しない

    みたいな。


    そのうち、「自由」って言われてたものが、
    ちょっと違って見えてきて。

    自由というより、
    「やってもやらなくてもいい状態」になってるというか。

    で、結局やる人だけがやる。

    これって本当に“自律”なのかなって思いました。


    前に一回、ある人がポロっと言ったんですよ。

    「別にやるのはいいんだけど、なんで毎回同じ人なんだろうね」って。

    その場、ちょっと静かになって。

    でも、誰も深くは突っ込まなかったです。

    たぶんみんな、思ってはいるけど、
    どう扱っていいか分からないんだと思います。


    あともう一つ思うのは、
    このチーム、ほとんど対立がないんですよ。

    それって一見いいことなんですけど、
    よく考えると、ただ言ってないだけなんじゃないかって。

    違う意見があっても、飲み込む。
    言わない方が楽だから。

    結果として、平和ではあるんですけど、
    あんまり前に進んでる感じもしない。


    自分なりに考えたんですけど、
    たぶん“責任を持つ”って、仕事をやることだけじゃなくて、

    言いづらいことでもちゃんと伝えることとか、
    ちゃんと向き合うことも含まれると思うんですよね。

    でも、それって結構しんどいし、
    全員ができるわけじゃない。


    ティール組織って、たぶん仕組みとしてはすごくいいと思います。

    ただ、やってみて思ったのは、
    これって人にめちゃくちゃ依存するなってことです。

    誰かがやってくれる前提じゃ回らないし、
    でもその「誰か」が固定されると、今度は偏る。


    正直、まだ答えは出てないです。

    でも一つ言えるのは、
    「自由=楽」では全然なかったです。

    むしろ、
    どう関わるかをずっと考え続けないといけない分、
    前より難しくなってる気がします。


    最初に感じたワクワクは、今も少しは残ってます。

    ただ今は、それと同じくらい、
    現実の難しさもちゃんと見えてきた、って感じです。

  • なぜ現場は「ちゃんと改善しているのに」苦しくなるのか

    なぜ現場は「ちゃんと改善しているのに」苦しくなるのか

    なぜ現場は「ちゃんと改善しているのに」苦しくなるのか

    改善活動をまったくやっていない現場は、ほとんどないと思います。
    5Sもやっている。
    改善提案も出している。
    定例の会議も開いている。

    それなのに、なぜか現場は楽にならない。
    むしろ、頑張っている人ほど疲れていく。

    「ちゃんと改善しているはずなのに、どうしてなんだろう」

    中小製造業の現場に関わっていると、
    この違和感に何度も出会います。


    改善している=うまくいっている、ではない

    最初に言っておくと、
    改善そのものが悪いわけではありません。

    現場で改善が行われていること自体は、
    むしろ健全で、前向きなことだと思います。

    ただ、いつの間にか
    「改善していること」自体が正解になってしまうと、
    少しずつ歪みが出てきます。

    ・改善を出すことが目的になる
    ・やる人が固定されていく
    ・改善しない人が悪い空気になる

    こうして改善は、
    現場を良くするためのものから、
    現場を縛るものに変わっていきます。


    苦しさの正体は「設計されていない改善」

    現場が苦しくなる理由は、
    人の能力や意識の問題ではありません。

    多くの場合、こんな状態になっています。

    • 誰がやるか決まっていない
    • やらなくても困らない
    • やった人だけが大変
    • 評価にも時間にもつながらない

    結果として、
    「気づく人」「動ける人」「責任感の強い人」に
    改善が集中します。

    本人は「現場のため」と思って動いている。
    でも気づけば、
    その人だけが忙しくなり、疲れていく。

    これは、やる気の問題ではなく、
    改善がどう扱われるかが設計されていなかった
    というだけの話です。


    「思考設計」という考え方

    ここで大事なのは、
    いきなり新しい仕組みやルールを作ることではありません。

    ツールを入れることでも、
    管理を厳しくすることでもない。

    その前に、
    改善をどう考えるかを置き直す必要があります。

    たとえば、

    • 改善は「善意」なのか、「仕事」なのか
    • 余力でやるものなのか、「役割」なのか
    • やったことは、どこに残るのか

    こうした前提が曖昧なまま、
    改善だけを増やしていくと、
    現場は必ず苦しくなります。

    だからまず必要なのは、
    やり方ではなく、考え方の設計です。


    答えを急がなくていい

    改善がうまくいかないと、
    「自分たちの現場はダメなんじゃないか」
    そんなふうに感じてしまうことがあります。

    でも、そうではありません。

    能力が足りないわけでも、
    意識が低いわけでもない。

    ただ、改善が
    どういう位置づけなのか、
    どう扱われるものなのかが
    決まっていなかっただけです。

    このブログでは、
    「どうやるか」よりも前に、
    「どう考えるか」を一緒に整理していきます。

    答えをすぐに出すための場所ではなく、
    考え直すための場所として。

    ここが、
    現場の思考設計室です。